転職を決意してから2年半が経ち、新たな門出を迎えることになった

概要

 新卒で入った大手通信事業者から新進気鋭の外資ベンチャーに立上げメンバーとして入ってから2年半という年月が経過して、いろいろなことを経験し、さらに貴重なご縁をいただいたことから次の舞台へと身を移すこととなった。ここではその経緯と今考えていることを前と同じようになるべく高解像度に書き表してみたいと思う。

 端的に述べると、実績ネイティブに動きすぎて現場にいない経営層とのすれ違いが発生して長期的なキャリアを考えることができなくなった中で、実績を買われてトップTierの自動車会社から非常に興味深いAIプロダクトの開発に関するご縁をいただいたのでそちらでこれからのキャリアを歩んでいこうと決意した。

 今回の転職は視点の違いとか、組織の中で適切に評価されるためにどのようなことをすればよいのかという事を実感を以て知ることが出来たのでそれも書いていこうと思う。現場ネイティブに考えるとまだまだ出来たことは多くて、いろんなIFがあったなとは思うが、全てはタイミングかなと思う。これまでのことを整理してここに記し、これからのキャリアを全力で邁進していく決意も書いていきたいと思う。

私の実績と評価者とのすれ違い

 転職した当時、まだ何もない会社を組織や技術的な知見、資料などを一から立ち上げ、信頼と実績を必死に作ってきた。その甲斐もあってか、2年くらい経ったタイミングで年々倍以上の成長をする企業になりメンバーも少しづつ増え、社内外に検証などが行える技術者も増えてきて着実な実績開拓を行うことができる土壌ができてきた。それ以外にも社内的な文化の醸成にもうまく貢献できて、とても良い流れを作ってこれた。私はこれを初めから携わり色々なことを先駆的に行い、貢献してきた事実がある。しかし、ここで一つ重要な点がある。それは経営層は私の活躍をほぼ知らなかったことだ。これが私と会社を決定的にすれ違わせることになった。

 このすれ違いは視点の違いであり、今後の私にとっても、本当に示唆のある経験となった。なぜ経営層が私のしてきたことをまともに知らないのかというと、実は1年半くらいのタイミングで私の上司は経営層とのいざこざで退社をさせられていたことが根本的な原因だろう。ここで管理の文脈が完全に変わり、私の活躍やキャリア的な文脈を理解してくれる人がいなかったことが大きな原因だと思われる。それと経営者が日本の現場をまともに見ようとしていなかったことも原因だ。

 私は当時、上司がやめさせられたことに関しては、双方ともにお粗末すぎる話だしあまり直接的な関係はないと思っていた。それよりも実績をとにかく上げてこの会社の成長を第一に考えて行動していれば、評価は自ずとついてくると考えて日々仕事をしていた。結果的にこれは半分あっていて半分違っていた。

合っていた部分

 まず合っていた部分は、自分自身に対して色々な良い影響をもたらしてくれた部分だ。様々な経験を先駆的にしたおかげで社内でも信頼されるような技術者になれたし、私の目指す技術者像にとっても近い動きができた。技術的な知見も増え、新入社員の教育体制や難しい案件の着地など、いろいろな分野で貢献できた。これによって多くの実績と実力をつけることができ、転職の際にも自分が自信を持ってアピールすることができたので、これが次のとても狭くて魅力的な場所へ行くご縁を得ることが出来たと思う。なので自分自身に対して良い影響があったのは間違いなく合っていたしやってよかった。

想定と異なっていた部分

 一方で想定と違っていた部分は、私の活躍が社内的にまともに評価されるような境遇になっていなかったことで、組織内の立場がついてこなかったことだ。いくら現場レベルで評価されていようと、意思決定するものがこれを把握していなかったら組織的な立場はあまり良くならない。ここでいう評価者は営業畑の社長で、実質唯一のこの会社の意思決定者である(先述した上司がいなくなって技術の評価者がいなくなった)。技術のことは何もわからず、私が何をやってどういう貢献をしていたか、全く検討がつかなかったのだろう。この時点でこの会社に技術者としている意味はもはや薄いのだが、今までは会社に関してノータッチだったので無視して仕事ができていた部分はある。しかし最近になって実績が上がってきたらなにもしていないのに自分の実績と勘違いして筋違いな人事を繰り返してきたので無視できなくなったというのが率直なところだ。

 オフィスワークばかりして管理能力の薄い同僚を二人も直列で上司につけるというとても愚かな人事判断をした。これは不可逆的で、どう転んでも角が立つ判断だ。それを軽々しくしてしまう能天気さも腹が立つが、仕方がないことにしよう。おそらく彼らは社長とコミュニケーションを取って報告を上げるみたいなことをしていたんだろう。それが組織にとって正しいのは理解するが、私がこの会社で働くモチベーションは、そんな内向きの管理ごっこではなく、外向き全開で実績をたくさん積んで会社をより大きくすることだったので、社長の方向性と完全に異なった。

 管理は会社が大きくなるための手段であって目的ではない。ましてや上位者が楽するためにあるものでもない。自らが日本に来れないコストを現場に転嫁する姿勢は本当に気に食わない。上位者ほど主体的に会社、現場、社員を見て慎重に組織体制、権限委譲を検討するべきだったろう。

 普通に考えれば同僚だった人を二人も上司に付けたら捻れた変な組織になるのは容易に想像できるだろうに、そういった社員のモチベーションなどを鑑みることなく不可逆的な人事を軽々しくしてしまうことに怒りに似た感情が湧いた。とにかく、この人事によって私の会社に対する信頼は決定的に毀損され、貢献しようという気持ちが0になってしまったので、この采配は私に対して完全に失敗であったことは事実だ。

得られたこと

 大切なのは、評価者というのは現場のことをまともにわかっているなどと期待はせずに、きちんと自分がどのような実績を上げたかをアピールすることだ。そして自分がどうなりたいか、というのをキチンと発信することが重要であると考えられる。日頃のコミュニケーションや評価のタイミングでそれをきちんと伝えてキャリアを積んでいく努力をいていくことが大切だ。

 実績は挙げられたのでここからはきちんと自分の成果をアピールし、影響力を得ていくことに注力していきたいと思う。もちろん職場や上司によってここら辺のさじ加減は変わってくると思うので臨機応変に対応していきたい。

まとめと次の抱負

 総合的に見ると、経営者に経営能力がないのは明白だったが、自らのアピールを適切にしていないと、仮に評価者に能力が合って悪意がなくても自らの立場が良くならないことを示唆する重要な経験だったと思う。

 この経験からわかったことは、こんな小さな組織でまだまだ実績が大事な状況でも管理ごっこが始まるのだから、これから先は大企業で、より大きな成果を挙げられるように出世を目指して権限を持ったほうが良い。組織に居る以上、権限がある方が強いのでそれを握りに行くのはやはり大切だ。これからの私の大きな方向性になっていくだろう。

 逆にこの経験を早い段階でできて感謝している。これからは然るべきところに自分の実績をアピールして、何をしてきたかということを明確に、わかりやすく伝える努力をしていきたいと思う。東京を一旦離れて妻と一緒に移住して転職を決意したので、もはや自分だけのものではない。覚悟を決めて、健康にも気をつけて、本気で実績を作りに行きたいと思っている。(もちろん不測の事態は何事もあるので健康は害さない範囲で、臨機応変に対応していこう。少なくとも5年は働いてキャリア的にも安定をさせたい。)

頑張れ!!!俺!!!ここまで見てくれてありがとう。